「ところで、結局犯人は取り逃がしちゃったのよね……という事は、犯人の居場所探しからやらないといけない訳?」


1日~2日でケリをつけなければならないセイが、心配そうに尋ねた。


手掛かりが何も無い今の状態から、犯人を探すのは容易な事ではない。
セイが心配するのも無理のない事だ。


しかし、羽毛田は余裕の表情で煙草の煙をくゆらせながら言った。


「その心配は無い♪
犯人の居場所は、既に把握済みだ♪」


そう言って、指をパチンと鳴らすと、部下の黒崎が先程まで観ていたTVモニターを、関東地図が映し出された画面へと切り替えた。
その地図画面の横浜埠頭辺りには、ゆっくりとした周期で赤い光が点滅しているのが確認出来た。


「犯人が持っているあの札束の中には、あらかじめ超小型発信機を仕掛けておいた……どこに居ようが、こっちにはお見通しって訳だ♪」


だからこそ羽毛田は、みすみす一億円を犯人に奪わせたのであった!


すっかり出し抜かれた様に見せかけて、実は犯人よりも羽毛田の方が一枚も二枚も上手だった様である。


羽毛田の正体を知らなかったとはいえ、犯人は、警察よりも恐ろしい尊南アルカイナを敵にまわしてしまったのだ。


「アイツら、完全にぶっ潰してやるからな♪」