「おい!お前いったい、どこに居るんだ!」


『俺かい♪俺なら、アンタからよく見える所にちゃんと居るよ。』


羽毛田が付けている盗聴マイクの音声を聞いていた、山下の顔がこわばった。


「犯人は近くに居るぞ!怪しい人間はいないか?」


しかし、これだけの人の数である……犯人を特定するのは、到底不可能だ。


「見える所に居るって、これだけ人が多くちゃわからねぇよ!
何か特徴を言えよ!」


羽毛田がそう言うと、犯人が答えた。


『そうだなぁ……
髪型は、オールバック、サングラスを掛けていて、背はあまり高くなく、今日はスーツを着ているよ。』


「よし!これで随分的が絞れるぞ!サングラスにオールバックの男だ!すぐに見つけ出せ!」


山下の指示に従い、方々に散った私服警官が、慌ただしく動き出した。


「確か、さっき見たような気がする。」

「そんな男、さっきどこかに居たぞ。」

「どこだっけな…さっき見たぞ?」


私服警官達は、口々にそう言いながらあたりをキョロキョロと見回した。


羽毛田も、同じ事を感じていた……確かについ先程、そんな特徴の男を見たような気がする。


「どこだっけな……
確かにそういう奴が居たんだよな……」