狼と仔猫

すると狼は、仔猫の背中を優しく撫でました。


「冷たい、がうー…」


「ひぃ…」


仔猫は撫でられているにもかかわらず、警戒を続けます。


「大丈夫、食べないがう。
おれの名前はクロ。
君は?」


狼…クロには攻撃の姿勢がみられません。

仔猫は安心しましたが、名前を聞かれていました。

「わたしの、名前は…」


仔猫は口ごもってしまいました。


名前がないのです。