この時期の泥棒【短編】




『あ、あのね…。

今日瀬川君の誕生日だよね?


お誕生日おめでとう!!』


勢いあまって声がちょっと大きくなったけど

言った、言えたー!


言えた満足感に浸りながら、彼の顔を見ると

一瞬目を見開いたが、すぐに戻り

いつもの表情になってありがとうと言った。



『今日、本当ははやく言いたかったんだけど

中々瀬川君が一人になる時がなくて…。

やっぱり人気者だから凄いね!

はぁー言うの緊張しちゃった!』


「……そっか、なんかごめんね」


『ううん、しょうがないよ。

でも、言えてよかった!

瀬川君のことがす…』


思わず手で口を塞いだ。


やばい!!

勢いで、好きだからって言いそうになった。


だらだらと汗が背中に流れる。

さっきの言葉聞かれてませんようにと

思いながら彼の顔を見た。