この時期の泥棒【短編】




彼をちらっと見ると目が合ってしまった。



「そんなに離れるな。

もっとこっちへ来いよ」


『え、でも…』


「別に喰らいつこうとかしないし。

肩が濡れるじゃん。

それじゃ、渡辺を中に入れた意味が無くなるから」


『あ、うん…』


ぐいっと彼の方へ引き込まれた。




~~っ、さっきより緊張してきたんだけど!

恥ずかしさのあまり、頭が真っ白になった。




というかさ今、お誕生日おめでとうって

言えるかもしれない!

周りには誰もいないから邪魔されないし。

人気者を好きになると話しかけるだけで

他の女の子から目をつけられるから

怖かったんだよね。


彼に気付かれないようにそっと深呼吸をした。