「い、いらっしゃいませだぴょん…」

蚊の鳴くような声が聞こえる。

「いらっしゃいませだぴょん…メイド喫茶だぴょん…」

そりゃあ聞こえにくい筈だ。

花音は五所川原に、ほぼ顔を押し付ける形で喋っているのだから。

くぐもった小さな声しか聞こえない筈。

呼び込み、客引きとしてはおよそ機能していないに違いない。

なのに。

「なになに?メイド喫茶?」

「君、ここの店の子?」

「可愛いねぇ♪」

何故この男性客達は寄ってくるのか、花音には理解できない。

物凄く耳がいいのか?

それともテレパシーでも使えるのか?