午後7時。

予告通りの花火同好会による打ち上げ花火が始まった。

流石に天神夏祭りには及ばないものの、学園の夜空を彩る花火は、それはそれは美しいもので。

「…夏の終わりの花火というのも、風情がありますね…」

茶筅を扱う手をしばし止め、御衣黄は目を奪われる。

「見ろ愚民ども!来世の世界の再生者を祝福する狼煙だ!」

春院が夜空を指差して絶叫し、それを崇めるように狂信者達が平伏す。

「うわあっ、綺麗ぃ♪」

いつの間にかワンコ君と屋上の転落防止フェンスに腰掛け、特等席で花火見物するのはかおる。