「僕さ、親父と2人暮らしなんだ。
一人っ子だから兄弟もいなくて…
中学にあがるまではお母さんが一緒に住んでたんだけど、出て行っちゃったんだよね…
しかも、その人は本当のお母さんじゃなくて…


僕は、親父が不倫してできた子なんだ。


だから、お母さんからすごい嫌われてて…」


今にも泣き出しそうな顔をして話す結都


握っていた手にすごい力が入っている。


「毎日叩かれたり、『あんたなんか産まれなきゃよかったのに…!』って言われてた…

本当の母親は、僕を産んですぐに亡くなったらしいから親父たちと住むしかなくて叩かれても罵られても耐えてたんだ。


でも僕にとっては育ててくれた人だから嫌いになれなくて…

お母さんが出て行く時に『行かないで…』って言っちゃったんだ。


そしたら『私にはあんたを育てられない。どうしてもあの女を重ねて見てしまうから。ごめんなさいね。』って…」