その子は逞おじちゃんの第3子。








早く来ないかな。
抱っことかさせてもらえるかな?








そんなことを考えながらそわそわしてると、玄関で音がした。






そしてリビングの入り口のドアが開き、逞おじちゃんが顔を覗かせる。






「おぉ、兄貴!久しぶりやな。維月も雅人も元気か?」







逞おじちゃんは優しく笑って俺の肩をぽんっと叩く。






質問に答えようとしたその時、騒がしい声が玄関から聞こえてきた。







「なんでお兄ちゃんばっかり、あずちゃん抱っこするん?彩も抱っこしたい!!」







「は?彩が抱っこしたらあずが泣くもん。だから俺が抱っこする。」







「お母さん!!お兄ちゃんが彩に意地悪する!彩もあずちゃん抱っこしたい!!」







「結くん!意地悪は言っちゃいけません。彩ちゃんにも抱っこさせてあげなさい。彩ちゃんも、そんなに急いで抱っこしなくてもあずちゃんは逃げんから大丈夫よ。」







そんな会話をしながらいとこの結翔と彩が赤ちゃんを抱いて入ってきて、その後ろに美千留おばちゃんがいた。






「こんにちは。すみません、騒がしくて。」







申し訳なさそうにおばちゃんは言って、結くんの腕から赤ちゃんを抱っこしてし娘の紹介をした。






「この子が梓です。こんにちはー。」








おばちゃんの腕の中で、ぽっちゃりした赤ちゃんが紹介に応えるように、一回あくびをして、くりくりの目を開ける。







その愛らしさは、みんなをとりこにするほど、可愛かった。






「維月も抱っこするか!?」







ってえー!?
まじ落としそうで怖い。







そう思い、俺は断るけど、結局抱っこしてしまった。






梓は俺の顔をじっと見ていたけど、安心したのか、再びあくびをして眠り始める。







これが、俺と梓の出会いだった。