少し驚いた様子だが、直ぐに普段の大人びた顔つきに戻る。
「いい曲は何年たってもいい曲よ。
流行なんて関係ない。
そう思わない?先生?」
と、垂れ目がちな大きな目をさらに目尻を下げて妖艶に笑う。
きっとこの泣き黒子が、彼女に大人の女性の色気を与えているのだろう。
高校生のガキだなんて、まるで信じられない。
「たしかにな。
でも授業中に音楽を聴くのは校則違反だから、これは没収。」
麻生の耳からイヤホンを抜き取る。
悪態をつくような、肉厚の唇をこれでもかと突き出す仕種に、初めて彼女の顔に幼さを感じた。
俺は教卓に戻ると付箋を取り出し、先程没収したウォークマンに貼る。
2年B組、麻生杏莉
「いい曲は何年たってもいい曲よ。
流行なんて関係ない。
そう思わない?先生?」
と、垂れ目がちな大きな目をさらに目尻を下げて妖艶に笑う。
きっとこの泣き黒子が、彼女に大人の女性の色気を与えているのだろう。
高校生のガキだなんて、まるで信じられない。
「たしかにな。
でも授業中に音楽を聴くのは校則違反だから、これは没収。」
麻生の耳からイヤホンを抜き取る。
悪態をつくような、肉厚の唇をこれでもかと突き出す仕種に、初めて彼女の顔に幼さを感じた。
俺は教卓に戻ると付箋を取り出し、先程没収したウォークマンに貼る。
2年B組、麻生杏莉


