「うぅ…」

俺は後部座席にいたということもあり、なんとか生きていた。


でも、竜也はどうだろうか


「おい!!竜也!!!!大丈夫か!?生きてるか!!?」

必死で呼びかける俺。



すると、



「なんとか…大丈夫。でも阿部ごめん。最後まで、一緒に逃げようと思ったけど、僕はゲームオーバーのようだ。お金を渡すから逃げて…。はやく…。」


竜也は生きていた。
だが、その体はボロボロでとても逃げられる状況ではなかった。


「そんなのダメだ!お前を置いてはいけない!さっきの奴らになにされるかわかんないんだぞ?」


「僕は絶対死なないから大丈夫。はやく逃げて。人が集まってきたら面倒だから。今はとにかく逃げるんだ!逃げて逃げて逃げろ!」

俺は泣きそうだった。

竜也を置いて逃げるなんて、俺にはできない…
でもこの竜也の優しさを踏みにじることもできない…


竜也ごめん…。


俺は竜也からお金を受け取り、そのまま車の外へ出て走った。