放課後
 手を繋いで家に向かう。

 なんか…
 当初の目的からズレてるよね?

 「緋奈、あれ誰?」
 当初の目的を考えてた私に降りかかる穂嵩の低音ボイス。
 「緋、奈…」

 えっ___?
 今の声……

 ふと前を向けば____

 ___________っ

 「那、智?」
 元カレが、いた。
 「緋奈?誰?」
 「…那智が、どうして?」
 気が動転して穂嵩の質問に答えられない。
 「あ、絢(あや)が一旦家帰りたいって…」
 「…絢、戻ってきてんだ?」
 「あ、あぁ。」
 「そう」
 「緋奈の、彼氏?」
 いきなりのことに首を傾げれば、
 「はい。緋奈の彼氏です」
 聞き慣れた声が響いた。
 「…そっか、」
 那智が何か言いかけたけど聞けなかった。
 「お待たせ~って、あれ?緋奈ちゃ…ん」 
 絢が出てきたから。
 「…久しぶり。」
 「ぅ、ん。えっと…那智と、付き合ってる、の。」
 「そう。おめでとう」
 「そちらは緋奈ちゃんの彼氏?」
 絢が穂嵩を見て目を見開いた。
 穂嵩も同じように目を見開いて固まってた。
 「私の、彼氏。」
 不安になってぎゅっと絡めた指先に力をいれれば、握りかえしてくれる。
 「そう、なんだ…」
 「うん。じゃあ、ね」
 穂嵩の手を握って私は家に入った。
 するといきなり抱きしめられる。
 「穂、嵩っ!?ここ、玄関…」
 「…。」
 「穂嵩?」
 何も言わない穂嵩をぎゅっと抱きしめかえせば、
 「那智、って誰?緋奈とどんな関係?」
 弱々しく尋ねられた。
 「っ、…話すからリビング行こーよ」
 
 隠しちゃ、ダメだ_。

 「那智は絢の彼氏で私の元カレ。」
 「え?」