なんだかんだ言ってたら学校に到着。
 まぁ、想像通りって言うか…周りからの視線がイタいですよ。
 いつの間に握ったのかヤツの細く骨ばった指が私の指に絡む。
 「ん?」
 「手、」
 「うん。これで教室入ったら1日で噂広がるよね」
 随分と愉しそうなことで…
 「緋奈、愛してるよ」
 甘い声で甘い笑顔で私に囁く。
 もちろん周りに聞こえてないわけがなく、野次馬たちは”きゃ~”と叫んでた。
 あくまでも他人事、というわけにもいかず…
 「私も愛してるよ、穂嵩」
 
 おぇー

 なんて甘いんだ
 でもこんなの序の口。
 教室に入ればもっと濃いものになる。
 そんな確信があった___。






 はぁ。

 昼休み、案の定な感じで穂嵩とお弁当を広げているとある男子が
 「そーいや、澤島と宮間さん付き合ってんだよな?マジで。」
 と聞いてきた。
 周りも興味津々。
 大方、”フリだったら”とか”遊びだったら”とか思ってんでしょ?
 「うん。そう、今まで言わなくてごめんね?」
 答えたのは__穂嵩

 ま、当然?

 事の成り行きを見守っていれば…
 「じゃあさ、ここでキスしてみ?」

 ……………………………………

 ……………………………………

 はぁっ!?

 驚いたのは私だけじゃない!!ハズ…
 大丈夫、穂嵩も目開いて固まってる。
 ってそんな問題でもないか…
 「……緋奈、怒らないでね?」
 意味不明な言葉と共に現れたのは_無駄に綺麗な顔、だった。
 「んっ、穂…嵩」 
 まさかガチでされるとは思ってなかった…
 教室で真っ昼間に深いキス、とりあえず何も考えられなくなって穂嵩にしがみつく。
 「___これで満足?俺、緋奈の感じてる表情(カオ)見せたくないんだけど…ってことでこれからサボるね」
 しがみついた私を抱えて穂嵩は教室から出て行った。
 

 「やべぇ、澤島マジギレさしちゃった…。てか、澤島が宮間さんにベタ惚れなんだ」
 とクラスが確認したことを私たちは知らない___。