飯屋の主人に深々と頭を下げて出てきた三名は、やけに暗くなり、生暖かくなった街の風を浴びていた。


「とにかく、私も貴方たちについて行くから忘れないことね」

「嫌よ。アンタといると何かと面倒なんだから……」


フレイヤの言葉に、全力で首を横に振って拒否したスカーレット。

面倒事というのは、言わずもがな──先程のような近所迷惑な高笑いのせいだろうが……。

フレイヤの性格常、これだけは直せそうにないと、グラガでさえ思っていた。


「アンタはアンタで、他の仲間を見つけて来なさいよ? まっ、その間に魔王を倒して宝を頂くのはアタシだけどねぇ〜」


腕を組み、勝ち誇ったような顔で、スカーレットはフレイヤを見上げた。

その言葉が意外だったのか、フレイヤは目を見開き、しばらくしてフッと笑みを浮かべた。


「そこまで言う自信があるなら、いいわ。受けて立とうじゃないの。この美しい最強の魔導士──フレイヤ様が相手になってあげるわ!」


オーッホッホッホ!! 、と腰に手をあて夜ということを忘れ高笑いをするフレイヤに、二人は鼓膜を押さえ呆れ果てた。