「クエストの時間制限はいいのかよ?」

「あーそれなら大丈夫よ。 時間制限ないクエストだったし……って、アンタいつまで付いて来るつもりよ?」


普通に問い掛けられて、普通に返してしまったスカーレットは、ハッとして眉をひそめた。

が、グラガは気にすることなく飯屋への道を進む。


「旅は道連れって言うだろ? おまえがクエスト終了するまで付き合ってやるよ」


と、道端の石ころを蹴りながら青年は言い放つ。

しかし、冒険者5年目の彼女に、そんなことは通用しない。


「アンタね〜。クエストに誰か付き添い人が増えたら、報酬が山分けになるでしょうーが」

「チッ……知ってたのかよ」

「アンタ……」


何処まで神経が図太いのか、と言い掛けてスカーレットは口を閉じた。

このまま挑発に乗って結局付いて来るパターンだと、勘付いたのだ。


(そうはいかないわよ変人……アタシに掛かれば)


胸の内までは分かるまい。

剣を抜き、軽くマントを靡かせて、グラガを警戒させた。


町の中心で剣や魔法を放つのは違反ではない。

ましてや、町にモンスターやドラゴンが侵入した時に不便な為、基本的によしとなっている。