#1雨
「めっちゃ大雨じゃん」
「朝晴れてたのに…傘持ってきてないよ」
教室は急に降ってきた雨にざわついていた。
(ふっバカな奴ら。折り畳み傘ぐらい持っとけよ)
そんなことを思いつつ僕は教室を出た。(あいつらに傘をとられる前に帰ってしまおう。)
下駄箱まで一気に降りた。
外からはものすごい雨が地面にたたきつく音がしてくる。
『………』
玄関口に女子がたってた。
立ちすくんでる。
傘を忘れたんだろう。
僕は知らぬ顔で通り過ぎようと決めた。
まっいつものことだから。人となれ合うのは好きじゃないし。
『………』
でもこの日はそうはいかなかった。
何故かそわそわしてたまらない。あの女子のところに戻りたくなる衝動に狩られる。
僕は一時止まり来た道を戻りその女子のところにいく。
『……っあの…』
その女子は口を開かない。
『傘ないならこれ使ってください』
傘を渡し僕はその場を去った。
(いったい何だったんだ、ただ僕が優しいだけか?)
なんて思いながら帰路につく。
大雨の中傘もささずに…格好悪い。
『…はぁ……』
角を曲がった所で小さな段ボール箱を見つける。
みゃーみゃーとどう見ても捨て猫がここにいる感を出している。
家で猫なんか飼えないし僕も含め家族は猫嫌い。
僕は見ない振り聞かない振りしてその場を去る。
この行動が間違っていたんだ。

