#5運命


ピピピピ…

聞き慣れた電子音。


『ん…』

カーテンの隙間から入ってくる光。時計を見れば八時を回っていた。

『…』

のっそり起きあがりリビングへ向かう。



「あ、おはよー」
『おはよ』
「んー元気ないぞお兄ちゃん!」
『いって!』
千杷に思いっきり背中をたたかれる。

「つか、今日って土曜でしょ?なんで早いの?」
『委員会の仕事』
「えー土曜もー高校生めんどくさーい」
『中学も休日に部活やってんだろ。それと同じ』
「〜委員会って生徒会かなんか?」
『俺は風紀の方』

妹の前では一人称が俺になる。言葉遣いも変わる。昔っからそうだ。まっ家族だから仕方ない。他人相手だとどうしても余所余所しい態度になってしまう。
誰でもそうだろう?


「もっもしかしてあの子も!」
『篠原さんは委員会なんか入ってないし部活も入ってないから今日は会わない。』
「つまんなーい」
『なんでだよ(笑)』
「つきあっちゃえばいいのに。」
『そうゆう仲じゃないから。』


こんな会話をしているうちに朝食は済ませ、そそくさと家を出た。
毎日のように篠原さんのことを話す妹はきっと自分に姉がいないから姉がほしいんじゃないかと思う。兄より姉の方が甘えられるし。