「私……巫女なんです。家は陰陽師の末裔で……父の仕事を手伝ったりしています。」
『仕事って……悪霊を祓うとか?』
「いえ、お守りを買いに来た人たちの接客や本堂を綺麗にしたり…」
『そうですか…』
「どうです?私の実家」
『……篠原さん……何となく巫女って感じします』
「ありがとうございます。さっき3人暮らしっていいましたよね?」
『はい…』
「実は最近家族が増えたんです」
『お兄さんが結婚されたとか?』
「いえ…猫です」
『猫?』
「はい…一ノ瀬さんが傘を貸してくれた日でした。雨の中捨てられてて拾ったんです」
(あの雨の日………)
『学校近くの住宅街の曲がり角ですか?』
「はい」
『……その猫だったんですかね?』
「見られたんですか?」
『いや、鳴き声はしたんですけど家族猫嫌いですし……よかったです!篠原さんに拾ってもらえて!』
「…………」

