エレーナから聞いた話だと厳しく処分されたとか」
「ルーシーは、天上界の規則に反して何十人もの人の寿命を延ばしました。
天上界では、むやみに人間の寿命を延ばすことは禁止されています。
よって重い処分になりました」イザべラ幹部が説明する。
「その規則は、エレーナから聞いた。理由も知っている。
ただ、彼女の指導監督する立場にあった、幹部達は処分なしというのはおかしいじゃないか?
人間界では、部下の不祥事は上司の責任になる。それで引責辞任した指導者は多数いる」
「ここは天上界です。人間界のルールは通用しません」
古い幹部1はつっぱねる。
「しかし、それでは責任逃れだ。彼女一人に責任を全て押し付けるのは酷だ。
ルーシーが規則を知らなかったからでは済まされないのは分かっている。
でも、幹部の指導監督が不十分だったこともあるわけだし、彼女の処分を軽く出来ないか?
ルーシーが寿命を引き延ばした人達の中には、高齢で社会的地位もなく
人間社会にほとんど影響力がない人達もいるはずだ。だからそういうのも考慮して、処分を
少し軽くしてやってもいいのではないか?
それから、ルーシーと一緒だった先輩天使達は悪くないと思う。
先輩達はルーシーの暴走を止めようとした。
それにあの2人は、ルーシーが天上界の規則をよく理解していない事を知らなかった。
だから、あの2人は処分しないでほしい」
「そういうことは私達が決めること。人間の貴方が口をはさむことではありません」
古い幹部達は、天上界の規則に人間ごときが口をはさむべきじゃないという姿勢をつらぬく。
慎一は負けじと主張をした。
「天上界が我々に迷惑をかけたのだから、人間が物を言わせてもらえないのはおかしい。
それに、新人教育は行っているのか?
俺のところに来る天使の中には、超世間知らずも多い。
人の役に立ちたいのなら、人間界のことをよく知らなくていいのか?」
「天使は、最初から必要な能力も知識も身につけて産まれてきます。
だから改めて研修は行いません」
古い幹部3は、天使の能力は完璧として譲らない。
「それはおかしい。天使は、人間の体に触れて、相手の願いを読み取り叶える能力があると聞く。
だが、エレーナはそれを知らずに、話したくない相手から、無理に願いを
聞きだそうとして、最初の契約に失敗している」
「慎一さん、私の事はもう気にしなくていいですから」