「はい、天上界のサラ・シンフォニーさんです。実は彼女も元人間なんです」
「えー」
突然現れた、もう1人の元人間天使。慎一は現実を疑った。
「サラさんに、さやかさん、元人間の天使が2人も揃うなんて非常に珍しいんですよ。
私の知っている限りでは、2人しかいません」
エレーナはすごく楽しそうだ。久し振りのサラとの再会に気持ちがはしゃいでいる。
「貴方が、もしかして宮原慎一さん?」
サラは、慎一に興味津々だ。
「そうだけど、何で俺の事知っているの?」
「慎一さんは、天上界で評判なのよ。
エレーナさんを助けるために、悪の組織を撃退したり、天上界の幹部達相手に
契約管理システムの改善を迫ったり。そんな事をしたのは、今まで慎一さんだけよ」
サラは右手の人差し指を立てて、慎一に顔を近づけながら話す。
「俺、何か知らない間に、変に目立ってしまったみたいだな」
慎一は自分でも気づかぬうちに、後ずさりしていた。
「契約管理システムが改善されて、私達は自由で安全な契約が出来るようになった。
みんな慎一さんのおかげだって大評判なの。
私の友達にも、慎一さんに会ってみたいっていう天使はたくさんいるよ」
「イザベラ幹部、俺の意見取り入れてくれたんだ」
慎一は嬉しかった。
「みんな、慎一さんとエレーナさんを理想の契約関係だって、羨ましがっている。
慎一さんと契約してみたいってね」
「そうなんだ」
慎一は、なんとなく理解した。
さやかが、慎一とサラの会話に入り込んできた。
「私達は以前から契約管理システムの欠陥を指摘していたの。
でも幹部達は、なかなか聞き入れてくれなくて。
時々、人間に傷つけられる天使達もいたの。
でも、ごくまれな事だって、幹部達は全く相手にしてくれなかった。
エレーナさんの事もあったし、幹部達もまさか人間の契約者から指摘される
なんて思わなかったんでしょう。
慎一の主張は、説得力があって、幹部達はかなり焦ったんだと思うわ」
「慎一さんが、イザベラ幹部相手に直談判したのがよかったのよ。
あの方は、他の幹部達と違って私達の話を親身になって聴いてくれる。
イザベラ幹部は、天使達からすごく信頼されているし、
契約管理システムの改善も、あの方の主導で行われたの」
サラもイザべラ幹部を信頼していた。
「宮原君モテモテね。私も宮原君と契約しようかな」
綾香がきつい冗談を言う。
「綾香さん、それは……」