幸せになろう

「しかし、全世界の存亡が、かかっている」
幹部3は、さやかに任せるべきと主張。
幹部1「それにしても、全世界存亡の危機をひとりの天使に全てを任せるしかないとは……」
非力な役人幹部達は、再びの議論を始めた。その時だった。
「あの、私、慎一のところに行きます」
少し前までうつむいていたさやかが、急に顔を上げた。
幹部3「やってくれますか」
「慎一の危機を知りショックを受けました。
私は何としても慎一を助けたいです。説得出来るかどうか分かりませんが、やってみます」
さやかは、自分を奮い立たせた。
「さやか、よく言ってくれました」
ずっと他の幹部達のやり取りを黙って聞いていたイザベラ幹部が立ち上がって、
さやかに駆け寄った。
「貴方の決断、私は心強く思います。
皆様方、さやかを信じていただけませんか。彼女に任せてみようじゃありませんか」
イザべラ幹部は、他の幹部達に理解を求めた。
幹部2「今はそれしかないでしょう」
イザベラ幹部「さやかに全てを任せます。私は貴方を信じていますよ」
こうして宮原さやかは、エレーナ・フローレンスとともに慎一の元へ向かった。
 
 「今日は私の友達を連れて来ました。慎一さんもぜひ会ってあげて下さい」
エレーナがにこにこしながら帰って来た。
エレーナの友人ってどうせ天使だろう、慎一は興味を示さない。
「さあ、上がって下さい」
だが、エレーナの友人だというその人の顔を見たとたん慎一は言葉を失った。
なぜ姉さんが? 慎一は、頭の中が真っ白になった。
「慎一、久しぶりね」
さやかが語りかける。
「私の事、忘れちゃった?」
慎一はあまりの驚きに、さやかを指さしたまま固まってしまった。
そして、言葉にならない声を発した。
「さやかさんとは、最近知り合ったんです」
エレーナが説明する。
「慎一、しばらく見ないうちに大きくなったわね。そう言えば父さん達、またいないのね。
あの二人、昔っからこうなのよね」
そんなはずはない。姉さんは、俺が子供の頃死んだはず。
この人が姉さんな訳ない。慎一は訳が分からなくなった。
「私ね、数年前に生き返ったの。自分でもなぜだか分からないけど。
でも、私は一度死んでいるから、家族と会うのはまずいでしょ?
だから、ずっと一人でいたの。
エレーナさんと知り合って、慎一の事を聞かされるうちに、我慢出来なくなって来ちゃった」