「俺も千早には世話になった。俺の亡くなったお袋は、元は小笠原家の令嬢…お前の親父の妹だ。親父に街でナンパされ、ふたりは恋に落ちて大阪に駆け落ち。ずっと、絶縁状態だった」


俺と時神が親戚?親父に妹がいたなんて初耳だが。
俺は首を傾げ、眉間に皺を寄せる。


「俺は時神だ。お前たちの一族の記憶は全て、消した」


「・・・」


「知弥はお前には思い出せてやるよ…」


時神が俺の目の前で姿を変えた。


その刹那、俺の脳裏に、消された全ての記憶が流れ込んで来た。



「康…人!?」


「久しぶりだな…知弥」


確かに父上には妹がいた。名前は戸賀弥生(トガヤヨイ)


康人と初めて会ったのは俺が12歳。ヤツは10歳。


ヤツは大手の芸能プロダクションに在籍していた子役で、東京で仕事をするために弥生叔母様と上京。


家族は大阪に住んでいるため、絶縁状態だった父上に身元保証人になってもらいたくて、邸宅を訊ねて来た。


「断る…」


「お兄様!?この子には不思議な力があるんです!…多分、この力は小笠原家の血筋の力だと思います」


「!?」