俺たちは妖狐の国に急いだ。



祠の向こうにあったはずの、妖狐の世界が一面、湖に変わっていた。



湖面には妖狐の術で創造された満月が優美にその姿を映し込む。



同時に、爽爾の悲しい顔を映し込んだ。



「一体…誰が!!?こんなコトを…」



妖狐の世界など最初からなかったように痕跡は何も残されていなかった。

それが一層、爽爾の涙を誘った。



金糸と銀糸の飾緖にロイヤルブルーの盛服。


銀色の髪が優雅に揺れる。瞳は蒼い瞳。高い鼻梁を持ち、端正な顔。



「俺は青龍…創造の神の命令により、妖の巣窟は排除した!」


この声はーーー・・・!?



「智成様?」


「さすがは知弥だな・・・」