上月さんが最上階の社長室へと案内してくれた。



「小笠原様をお連れしました…」


「入れ」


上月さんが扉を開けて、俺を中に入れてくれた。



エントランスの白とは真逆の黒を基調とした社長室。


「まぁ、かけたまえ」


「はい」


速水社長と黒のレザーソファーに向かい合わせて座った。



「これが例の…『呪いエンゲージリング』です」


「そうか・・・」


「このエンゲージリングで、何人もの罪のない、女性が犠牲なっています…」



「・・・」



速水社長の紅の瞳は複雑な色を染まっていく。



「確か…焼け死んでいるんだったな」



「はい…」



「霊力以上に、もっと何か違う強い力がこの指輪に宿っています。でも、それがまだ、何かは解明されていません」



「・・・」