ふたりのやり取りを尻目に、俺は盃の酒を飲み干した。



紫穂様の躰から、匂う香りはフローラル系。


俺もこの匂いは嫌いじゃない。

なんだろう~酒に酔ってるのか。花奏の匂いと重なる。



紫穂様は軽くお辞儀して、またキッチンに引っ込んだ。


「智成様は結婚してどれくらい経ちました?」


「2年だ。未だに子無しで、周囲は作れとうるさい…でも、出来ないんだ…仕方がない。そう思わないのか?知弥」


「あ・・・」


今の制度では紫穂様は帝にはなれない。
だから、早くふたりの間に世継ぎとなる男児を現・帝は求めていた。


帝の要求を仕方がないと無視できる智成様はかなりの強者だな。