天狗の血の飛沫が俺の衣を顔を汚す。



大いなる力を持った血の誘惑が俺の吸血衝動を起こさせる。



この血を一滴でも口にすれば、俺は『羅刹神』になるかもしれない。



これ以上の大きな力は要らない…



俺は花奏と共に…幸福な未来を歩いていきたいから。



「これで俺は天狗には戻れないんだな・・・知弥」



「でも、あんたは冥府神だ・・・」


「・・・」



俺は双剣を引き抜いた。



傷口から染み出す血。



速水さんの背中から黒い翼の羽根が1枚ずつ落ちてゆく。



速水さんはその場に倒れ込み、真紅の血溜まりの中で意識を失う。


抜け落ちて散らばった黒い羽根が血溜まりを覆い尽くす。



彼は冥府神に戻っていく。


永久に罪を背負いながら神として生きていく----・・・



その罪が重いなら俺が半分、背負ってやる…



俺は嘘を言わない男だ…