「とうとう…来たか…」


玉座に深く腰を据え、速水さんは低い声で呟く。



「花奏ちゃん…知弥が来たらしい…」



速水さんは腰を上げて、玉座の隣に置かれた水瓶の中を覗く。



速水さんの力で水瓶の水は冥界のあらゆる場所を見るコトが出来た。


私も速水さんの隣に立って、水面を見つめた。



「知弥…」


滋弥君と爽爾君の姿もあった。



ずっと会いたいと思っていた知弥の姿。


私は思わず感極まって、瞳に涙が滲んだ。



「そんな泣きそうな顔して…俺は嫉妬するよ…花奏ちゃん」



私たちのそばには亜希緒たちも控えていた。



速水さんはなおも嘘を重ねて、亜希緒さんと悠樹君を傷つける。