こんなダメな父親には勿体無い息子。



「後ろの男はお前の友達か?」


「ああ~紹介するよ。小笠原知弥…俺の友人だ」


「はじめまして…康人の父親の戸賀泰之(トガヤスユキ)です」


俺から見れば叔父に当たるが、ご都合良く、康人が記憶を消していた。



「小笠原知弥です・・・」



父親は左手を伸ばし、俺に握手を求める。


右手はだらんとしたまま。



「すいません。3年前に…脳梗塞で…右半身を不自由になったもんで」



「え、あ…そうなんですか・・・」


俺も右手を出して、握手を交わした。