俺は康人の力を借りて、ある場所に辿り着いた。



新緑の連なる峰。


真夏の煌々とした陽射に、瞳を細めた。



「此処はどこだ?康人」


「親父の入居してる老人ホームだ」


「・・・」



俺は康人のあとを追い駆ける。



「いつもお世話になっています!戸賀です」



康人は堂々とエントランスを通って、受付の職員に挨拶。



俺は康人の隣に突っ立って、様子を伺う。



受付から出て来た若い女性が頬を染めながら、中に案内。


3階の南向きの陽当りのいい部屋が康人の父親の部屋らしい。



康人の父親とは何度か会ったコトあるが、飲食業を営んでいたとあって人当たりは良かった。