幕末トリップガール~陰陽少女と新撰組~

「………かないでっ」


光がやむと、そこに姫はいなかった。




「……ひ、め……!」

ボロボロと水分がこぼれ落ちる。



「姫、姫、姫……!」





生まれてから、今までずっと一緒で。
双子みたいに育った。



幼稚舎に毎日靴下や髪型までお揃いにして行った。

同じ服を着て、同じ本を読んだ。


よく2人で図書館に行ったな。

乃愛は外国の本が好きで、小野寺は日本文学が好きだった。
夏目漱石をよく読んでいた気がする。


お互い負けたくなくて馬鹿みたいに2人で勉強した。


運動だってそう。

かけっこだって、なんだって。






あなたがいたから、世界が色付いて見えたんだ。