正直に告白すれば味覚が優れてるとも思えない。

何人かの友達が「絶対においしいから」と勧めてくれるお店に行って「それほどでもないな」と感じることはよくあるし。

逆に、私自身が「すごくおいしいよ」と太鼓判を押したお店に友人を案内したものの「それほどでもないな」という顔をされたこともよくある。

「環境が人を作る」っていうけど、私の料理がまさにそれだと思うんだ。

やらざるを得ない状況に追い込まれ、仕方なく始めたら、何となーく形になった。

ただそれだけのことだ。

でも嫌いじゃない。

料理は人を温かくするし、作っていると、自然と愛情が注がれる。

相手を喜ばせたいという無垢な気持ちになれるもの。

料理とはそういうものだと思う。

出来上がったものを食卓に並べ、ゲームに夢中の弟たちを呼び出すかつての私。

「ごはんを食べるときはちゃんとテレビは消すのよ」

なーんて、お母さんみたいなことを偉そうにいったりしちゃってね。

食べ終えて弟たちがあくびをし始める頃、お父さんとお母さんが帰ってくるのが毎度のパターンだった。

「マヤ、いつも悪いね」

弟たちが寝静まったあと、たまにお母さんにそんなことを言われたけど、謝られる理由がわからなかった。

決していい子ぶるわけではない。