サウスポーのほうは向かって左手のマウンド。

つまり、彼が原田くんだ。

ブルペンに近づき、持参したカメラで原田くんの投球をおさめた。

予算が限られてるから、プロのカメラマンは帯同しないのだ。

オレはひとり三役。

編集者兼、ライター兼、カメラマンというわけである。

文章を書くのはもともと嫌いじゃなかった。

三日坊主で終わったけどブログを書いたこともある。

「もうすぐ休憩に入ります。そしたら連れてきますのでベンチの中ででもどこでも自由に取材なさってください」

広報担当の男性が柔和な顔を向ける。

「ありがとうございます。休憩時間はおおよそどれくらいなんでしょう?」

「40分ってとこですかね。できればその間におさめていただきたいです」

「わかりました。時間は厳守いたします」

わずか40分。

一体どこまで話が聞けるだろうか・・・。

当然、導入は野球の話題だ。