特別、読書好きだったわけでも、写真に心ひかれてたわけでもないんだけど。
(実際にカメラさえちゃんとしたのをもっていなかったし)

最初から運動部という選択肢を除外していた。

やたらと厳しい縦社会とか、個人よりもチームが極端に優先される風土とか、そんな暗黙のルールが性に合わない気がした。

理不尽な理由で先輩に怒られたりするのもカンベン。

たかだか、1年か2年、先に生まれただけの話じゃん。

いちいち威張られてもねぇ。

だから、体育会系ワールドとは一線を画して生きてきたんだ。

もちろん、スポーツ自体を見たり、趣味の範ちゅうで楽しむのは嫌いじゃないけど。

体育会系なんてクソくらえ。今もそう思ってる。

バックネット裏から、向かって左手のファールゾーンには投球練習用のブルペンがしつらえてある。

そこでは二人の投手が投げ込みをしてる。

彼らが巨体をしならせ、キャッチャーミット目がけてボールを放り込むと、大きな二つの砂埃ができた。

一人は右投げ、もう一人が左投げ。