店長はオレより5つ年上。


5年前まで同じ商社に勤めていた。


だがラーメン好きが度を越え、いつしか食べる側から作る側にまわりたいと夢を抱き、本当にそれを実現させてしまったのだ。


オレの周りの数少ないドリーマーのひとりだった。


4年間の修行を経て、去年ここに店を出したというわけだ。


今や繁盛店の仲間入り。


シンプルにすごいと思う。


保証されたサラリーを捨て、自分の腕のみでの勝負を選ぶなんて。


同じ男として尊敬に値する。


親はもちろん親戚一同に「愚かな考えだ」とけちょんけちょんにこき下ろされたそうだが。


「バカ」と「英雄」は紙一重なのだと思う。


ラーメンはお世辞抜きで美味かった。


替え玉をオーダーした上、スープも飲み干してしまった。