のれんをくぐったのはそれから20分後だ。


券売機に小銭を吸い込ませ、看板メニューのボタンを押す。


きょろきょろと店内を観察しながらカウンター席に腰を据えた。


髭もじゃの店長が「いらっしゃい」といってお冷と引き換えにオレから食券をむしり取る。


やがて、オレの顔を確認するなり「おう、久しぶりじゃねえか!」と相好を崩した。


「どうも」


オレも笑い返す。


ちょっとした下心を携えながら・・・