ダイニングテーブルの置いてあるポータブルカレンダーとにらめっこしたけど正解らしきものは思い当たらなかった。


こういうとき、マサキはすぐには答えを教えてくれない。


首を傾げる相手を冷めた目で眺めるのがいつもの癖だ。


そしてこういうとき、わたしは彼のことを、ちょっぴりSなんじゃないのかなーと思ってしまう。


「ホントーにわからない?」


「うん。ごめん。ギブアップさせてください」


「忘れちゃうなんて冷たい奴だなー。あれだよ。オレがかつて手術した日だよ」


「そっかあ。あれからもうこんなに経つのか」


「なんで忘れちゃうかなあ」


「だって今すっかり元気じゃん。昔、大きな病気したのがウソみたいに。ふつうの人よりもぴんぴんしてる」


「それは否定しない。それって、いろんな人たちのおかげだよな」


「だから忘れちゃうのも無理ないよ」


「そうやっていつも自分を正当化するんだから。単に忘れてただけなのに」