「ちょっと買い物行ってくるわ」


財布とスマホをズボンのポケットにねじ込むと、彼女はサンダル履きで部屋を出た。


アパートの階段をバタバタと駆け下りる。


なんかアイツ、意味もなく元気。


というわけで、オレは留守番。


珍しく休みをもらった日曜の夕方。


アイツの部屋で一日を過ごす。


隣室の窓からはちびまる子の歌が漏れ聞こえる。


彼女は夕食の食材を調達しに出かけたのだった。


オレは彼女の部屋のラックからCDを取り出してかけた。


ジャズだ。


遠い過去、ショパンを聴いて「いいな」と思ったことがあったっけ。