「わざわざ相手は大学に電話してきたのよ。名乗らずに。なんでだろう」


「恥ずかしがり屋なんじゃないかな」


「あと不思議なのは、なんで自宅やわたしたちのスマホじゃなくて大学にかけたのかよ」


「番号を知らなかったんだろうね」


「そうよ。相手は私たちの電話番号も知らないような人なのよ。
そんな人がなんでマサキの体調の変化に気づくんだろう」


「神様以外に考えられないね」


「うん。神様っているのかな」


「オレに聞かれても困るよ」


「前田くんの周りにいない？　この謎をとける人」


「オレの周りはバカばっかりだからな」


「営業なんだから顔、広いでしょ？」


「まあ、前よりかはね」


「誰かに聞いてみてよ」


「困ったな」


「お願いね」


マサキの初勝利の話そっちのけで一方的に自分の疑問をぶつけ、電話を切った。