観客席から降り注ぐマサキへの声援。


試合が始まって2時間以上が過ぎた今も熱は冷めていない。


ところが・・・


ちょっとしたコントロールの狂いが暗雲を呼び起こし、スタンドを激しくざわつかせた。


2アウトながら満塁の大ピンチだ。


簡単に2アウトをとったあと、3人に連続でフォアボールを与えてしまったのだ。


たまらず前田くんがマサキの元へ駆け寄る。


内野手もマウンドに勢ぞろいした。


かなりまずい流れだ。


こういう場合、たいてい点を取られてしまう。


マサキはここへきて、疲れがどっと押し寄せたみたいだった。


低めにきまっていたボールが浮き始めたもの。


わたしは両手を合わせると、目を閉じて神様にお願いした。


「どうか、どうか、ピンチをしのげますように・・・」