「なにそれ?」


「笑っちゃうだろう」


「相当な変わり者だね」


「だろ?」


いつもなら、この話題はここで打ち切り。


でも今日は追求した。


そんなことないとは思うけど、マサキとこんな風にお喋りできるの、永遠じゃないかもしれないから・・・。


「でさあ、マサキはなんて答えたわけ?」


「・・・」


自分で話をふっておきながら、マサキは慌てる素振り。


しばらく口を貝にした。


西の地平線に夕日が沈みかける。


遠くでは救急車がサイレンを響かせた。


一度そらした瞳を、マサキがようやく私に戻した。


「もちろん、“いる”って正直に答えたよ」


「・・・」


「“世界で一番大事な人がそばにいます”って」


「うれしい」


どうにか涙をせき止める。


これ以上泣くのはよそう。


泣くと目の前が曇るから。


マサキの笑顔が霞むから。