寒い夜には【短編】




『ちゃんとね、約束果たしたよ。

来年もね、ここに来るから』



―奈菜…


『…え?』


―奈菜


『倉太…!?どこ、どこに居るの』



彼の声がする、愛しい人の声がする。

辺りを見渡しても彼の姿は見当たらない。



―俺は奈菜が好きなのはずっと変わらない。


『倉太…?』


―だから、今日来てくれたことはすごい嬉しい。

また、約束しろ。

俺はお前と一緒に過ごせて幸せだった。


だから今度は奈菜が…



『聞きたくない!!それ以上聞きたくない!

私はずっと倉太の彼女だよ。

ねぇ、倉太だってそうでしょ』



―奈菜、お前は違う人を幸せにしろ。

そして誰よりも奈菜が幸せになれ。



『そう…た…っ…』



―少しだけでいい。

クリスマスに俺を想い出してくれるだけで

俺は幸せだ…またな、奈菜。



『倉太っ、倉太……!!』


それから何度も名前を呼んだけど返事は無かった。