「あのさ絵理香、礼央、引き取りたいと思うんだけど。」

翔がラテを啜りながら言った。

夕食のあと、コーヒーマシンで入れたラテを飲みながら語り合うのが、結婚一年目の結城絵理香と翔の習慣だった。

そして、今日あったこととか、週末は何をしようかと相談するのだ。

それは一日の締めくくりの楽しいひと時だった。


今日、会社から定時に帰ってきた翔はただいまと言ったあと、ネクタイを緩めながら、
「飯食ったら、話があるんだけど、いい?」
と絵理香に言ってきたのだが、別れた前妻との子供を引き取りたい、という話だとは。

絵理香はあまりに予想外な言葉に、持っていたカップを取り落としてしまった。