<伊織Side>
ジーーーーーー……。
「い、伊織…?」
「んー?」
「どうした?」
「何がー?」
「いや、だからさ」
「うん?」
「ち、近すぎない…?」
「そうかな?」
「うん…」
「だって、淳の事が凄く気になるんだもん」
「えっ!?∑ そ、それってどういう…///」
うん、すっごく気になる。
こんな気持ち初めてだよ。
なんでか分かんないけどドキドキする。
どうしてこんなにも…。
「い、伊織「可愛い~~!」…ん?」
「この子、すっごく可愛いね!!」
「…(変な風に考えた俺が馬鹿なの…?)あ、あぁ、それは親が勝手に付けたみたいでさ、取るのもめんどくさくて」
「へぇ~」
私が真剣に見ていたのは淳のカバンについているキーホルダー。
手のひらサイズの黒いウサギで首元にはピンクの可愛らしいリボンが付いていて純粋な瞳でこちらを見ている。
「そんなに気に入ったならいる?」
「え!?悪いよそんなの!!」
せっかく淳のお母さんが淳にあげたものなのに…。
「いや…家にまだコイツらが2、3匹ほどいるんだよ…」
「…あはは」
ゲームセンターで取りすぎちゃったんだね…。
「だから、遠慮しなくていいよ?はい」
そう言ってカバンから外したウサギを私の頭に座らせる。
「~~っありがとう!!」
「どーいたしまして!……」
「?」
あれ?淳どうしたんだろ。
何かすごいこっちを見てるような…。
どちらかというと私の頭の上を。
「淳…?」
「っ、どうした?」
「私の頭の上どうしたの?」
「いや、別に?(いつまでウサギを乗せてるんだろう。てかバランス感覚凄いな…)」
「??」
何だったのかなぁ。
「伊織」
「!!」
この声、英兄だ!!
「帰ろ?」
「うんっ」
淳にバイバイと手をふり英兄の元に急いで向かう。
「(いいなぁ一緒に帰るの。…てか)」
「(あの男子、伊織の事…。…でもそれより)」
この時二人の少年は同じ事を考えたそうな。

「「((伊織の頭の上のウサギ…何で走ってるのに落ちないんだろう))」」」