「優哉?」
名前を呼んでみても優哉
には届かなかったのか返答がない
その時だった
-グッ
後ろから誰かに手を引っ張られた
「優哉?」
多分優哉が後ろにいて私
を見つけてくれたんだろう
そう思いながら後ろを
向くとそこにいたのは
優哉ではなかった
でも、私はその人を知っている
「……魁斗…先輩」
名前を呼ぶのも久しぶりで声が震えているのが自分でも分かった
「久しぶり」
懐かしさがこみ上げた
あの時と変わらない
ちょっと意地悪な笑み
思わず泣きそうになった
「…泣きそうだよ?」
「…! そんなんじゃないです」
なんで私はこんなにも
顔に出やすいんだろう
「ねえ、今呼んでた優哉って?」
…駄目だ、これ以上話してるとまた…
「…彼氏です!じゃあ私急いでるんで!」
早口でそう言うと捕まれ
ていた手を振り払い、
私は急いでホ-ムの階段を
上った

