背中に回された腕に力はない。 「壊したくない。だから俺から逃げてくれ。」 「それが遥の愛し方なら、壊されてもいい。ただ傍にいたいんだ。」 このアンバランスな感情をなんと呼ぶのか。 愛と呼ぶにはあまりにも歪んでいて――。 それでも俺は、この感情を愛と呼ぶことにした。 「愛してるから、俺に壊されてくれ。」 キスを交わして、今日も愛に触れる。 ――end.