「まあ、そうなると
 僕の似顔絵は写真レベルになりますがね」

「………………
 なんだ わかめくんも大概毒舌だねー」

「生まれた時から一緒なんで」


似るのは当たり前です、と多岐はさらりと言った。


こめかみがピクピクと震えたのは仕方ないと思うんだ。
今なら殴っても罪にはならない よな。


なんて考えている神谷を尻目に、多岐は春風にリュックを背負わせて颯爽と教室を出た。


「ばいばい かみちゃんっ」

「先生また明日」


無論手を繋いで。

残されたクラスメイトといえば、朝の受付周りと同じ状況に陥っていたとかいないとか。


「残りも帰れよー
 さっさと帰れー
 さくさく帰れー
 殴られたくなければ帰れー
 あー 抱きまくら買おっかなぁー」


騒がしい話し声をBGMに、神谷は独り身を嘆いたのであった。








…………………………
三十路なんて、まだまだこれからだよかみちゃん
これからじゃないかー