新入生代表でまさかの春風が呼ばれ壇上に上がると、彼女に見覚えのあるものたち中に、まさか彼女が一位で入試を突破していた と想像できたものは居たのであろうか。
身長の低さゆえにマイクを思い切り傾け、顔がすべて見えない彼女に誰もが癒される中。
そのちいさな口から発せられた言葉は迷いが無くはきはきとしており、春風の度胸の強さを見せつけ、いい意味で彼らの予想を裏切る結果となった。


「―――――――4月5日、新入生代表九積春風」


役目をきっちりと果たした春風は席に戻り、再び多岐にもたれかかって目を閉じた。
それから退場の声がかかるまで、一度も春風が目を開けることはなかった。


「春、春 終わったから、起きて」


多岐が春風を揺すって起こすと、眠気眼を擦りながら立ち上がり、ふんわりと笑った。


「おはよお 多岐」

「おはよう 春」


二人はやはりまた手をつなぐと、同じクラスの列に混ざりながらこれから一年間を過ごす教室へと足を進めて行ったのだった。




…………………………
ねむぃ
昨日沢山寝たよね?
成長期かなぁ
もう 15でしょ、春
多岐のばぁか……