あの日からちょうど10日間がたった。

早瀬くんの足は完治したが、走っても

前のように上手くは走れないらしい。

ごめん、ごめんね早瀬くん。

あたしは何度も早瀬くんに謝った。

「気にするなよ神宮さん。俺のただの
不注意だっただけだから。」

「でも……。」

「平気だって。まだ3日もあるんだし、
何とかなるって。」

早瀬くんは笑っていた。

10日前のことが嘘のように笑っていた。

必死に練習をしている早瀬くんの姿は、

前とひとつも変わらない。

「そういえばさ、俺の夢は陸上選手だけど、神宮さんの夢って何?」

あたしの夢……?

そんなこと今まで1度も

考えたことがなかった。

あたしは何がしたいんだろう?

そう考えた時、出てきたのは1つだけ。

「あたしの夢は、早瀬くんの夢が
叶うことだよ。」

あたしは笑顔で答えた。

少し照れ臭そうに笑って早瀬くんは、

また練習を始めた。

広い青空の下、

残された時間は3日間。

あたしの願いは空に

届いているのだろうか………。