"最後"というだけあって、やっぱり応援の声は

すさまじいところばかりだ。

あたしは圭吾の応援にきたけど、

高校が違うため応援することはできない。

でも、見ることならできるし、応援なら

前日にしてあるから大丈夫と心の中で

何度も言いながら、席に座った。

100m予選。やはり圭吾はダントツ1位。

しかも、記録は10"34と

中学のときより速くなっている。

変わらないフォームと凛々しい表情。

あたしの大好きな圭吾のまま。

午後の部に入り、100m決勝が始まる。

圭吾は2コース。内側なので、

走りやすそうだ。

中学からのライバルの林くんは、

3コース。最後の大舞台で、

隣同士で走る2人。これが、

本当のラストゲーム。

高校卒業と同時に、林くんは

海外へ、圭吾はオリンピックの

メンバーとして練習をする。

あたしは圭吾の夢をいつまでも

守り続ける。だってそれが、

あたしの夢だから……。

「ただいまより男子100m決勝を
開始致します。」