綾香は小刻みにふるえている。

「綾香?」

すると綾香はそっと顔をあげて、優しく笑った。

「いつか、こんな日が来るって、わかってたのよ・・・」

「?」

「私は、海斗のせいで、失明になったんじゃないよ」

「あや・・・」

「いいの。いいのよ」

「綾香、」

「私はもういい。へへ。ごめんね、海斗。さよなら」

綾香はそう言って来た道をもどって行く。


なんであんなに普通なんだろう。

俺はまだ、綾香があんなにすんなりと俺の別れを受け入れたわけを知らなかった。